eiroku-style 目指せ!教育立志みやづ ~ひとづくりができるまちへ~
- えいろくビジョン2022 -
「高齢者の安心と若者が定住できるまちづくりを!」
- ひとづくりができるまちへ。教育が鍵を握る! -
【基本的な考え方】
私は、これまで宮津市を支えていただいた方々に安心して生活していただくためにも、支える世代を一人でも多く増やしていくことが、「高齢者に安心される住民サービス」や「地域の維持」につながると考えています。また、めまぐるしく激しく動くこの時代に、次代を担う子供たちには「郷土愛」と「生き抜く力」を育んでいかなければならないと考えています。私は、支える世代に光をあて、高齢者に安心のまち、子どもたちに生き抜く能(脳)力をつけてあげ、そして若者が都市部へ出てもふるさとに戻ってこられる環境づくりに力を入れていきたいと考えています。
- はじめに -
宮津市で育った若者の多くは一度は都会へのあこがれ等一度はまちを出たい、働きたい職種が少なく出ざるを得ないという傾向があり、高校を卒業するとほとんどの子供たちが都市部等他所へ進学・就職していきます。
(進学率という名の流出率77.7%)
もちろん、この地に留まりたいという若者もおり、地域に貢献してくれています。
その背景には、宮津市にはひとを育てる高等教育機関がなく、さらには製造業やニーズの多い事務職が少なく、働く職種が限られているということがあります。また産業は観光が主でありますが、勤務体系や賃金等条件が合わないということもあろうかと思います。
一方、最近になって若手経営者からは雇いたいけれども、いい人材がいない、あるいは来ない、雇ってもすぐ辞めるという声を聞くようになりました。ということは状況が変わりつつあり、雇用が全くないということではなく、雇用のミスマッチが起きていると言えるのではないでしょうか。これでは企業は成長できず、産業も発展せず、雇用も生まれないのではないでしょうか。
もう一つ、地域経済の低迷や宮津市の借金の多さに市民自体が自信を喪失し、仕事がないから地元に帰って来なくても仕方がないと大人たちが子供たちに口々に言っていたことも、現在の衰退の要因の一つではないでしょうか。
これらを解消するためにまず考えることは、この地域の課題の本質をどのように捉えるかが問題であり、私は、次のように考えています。
- この地域の課題の本質を考える -
昨今、消滅可能性都市が叫ばれていますが、この地域の課題の本質は、人口の流出による「人財流出」ではないでしょうか。この地域の若者たちは、高校を卒業するとその多くがこの地を離れ、都市部等の大学や専門学校へと進学していきます。もちろん、この地に留まりたいという若者たちもいます。
そこで何が起きているのかというと、折角汗水流して働いて稼いだお金が、学費だけでなく生活費の仕送り、少なくとも一人当たり数百万円・千数百万円もの「財」が都市部等の進学先へ流出しています。
例えば、令和3年の宮津市の成人数は177人。 昨今の各年代を平均180人とし、進学率が77.7%ということを考えると約140人。これが都市部などの私立4年制大学文系に全員進学したと仮定した場合、令和3年度日本政策金融公庫の生活実態調査で計算すると授業料(152万円/年)+生活費(年間平均95万円)で一人あたり4年間で988万円。988万円×約140人で13億8320万円が流出。しかも、一つの家庭に子供が2人いるとすると、その倍の27億6640万円。
これが全て都市部などへ集まる社会構造になっています。
その影響で、家を建てる資金や家電製品、車などの購入費が地域に再投資として回るはずである「財」が、縮小を余儀なくされ、お店の売上は減り、仕事の減少、所得の減少、雇用の減少、経済の縮小となり、さらには都市部等へ進学した子供たちはふるさとへ戻ってこられず、進学先での就職となり「人」の流出となっています。
これが「人財の流出」であり、これまでずっと繰り返されているのが現状です。
そして、この社会構造はこれからの世代もずっと続いていくということ、働き税金を納め、支える世代になるまでのひとづくりに約20年はかかることから、一刻も早くこれを是正していくことが何より将来のまちの発展につながると考えています。
では、どうすればいいのでしょうか?
- 解決策の糸口へ -
図をご覧下さい。経済の器をコップに例えて宮津市の現状を図にしてみました。
左のコップが今の現状です。これまでも観光で交流人口を増やし、外貨を獲得していますが、経済のコップに穴が空いているため経済力が上がらない状況になっていると考えられないでしょうか。
観光消費額は毎年約88億円で推移していますが、そのうちどのくらいが地域内に再投資されているのかは不透明です。仮に上記で記載した状態では毎年約3億円~4億円の蓄財と人材がコップの穴から流れ出ている状況です。
また、外貨を獲得することで経済力が向上することは考えられますのでそれは良いことですが、景気や為替レート等により観光は影響を受けやすい面があるということと、観光従事者以外の方にどれだけの恩恵がもたらされているのかは不透明です。
そこで、右のコップへシフトさせる必要があります。現在の各施策の取組みにより交流人口・関係人口の拡大・外貨の獲得が期待されます。これは大変いいことであり力をいれるべきです。ただ、コップの穴を小さくしないと折角の効果は減ってしまいます。また、観光従事者以外の方の生活の負担は変わらないのではないでしょうか。観光による外貨獲得を否定しているのではなく、外貨を獲得しつつ、コップの穴を小さくすることがベストではないでしょうかという提案です。
では、コップの穴を小さくするにはどうすればいいのでしょうか。
乗り越える課題はありますが、情報を集めた結果、下記の図のとおり大まかなスキームのイメージは出来ました。大きな話なので、実現するには、京都府のご協力や宮津市の本腰を入れたプロジェクトチームと市長の強いリーダーシップ、市民や地元企業の理解・協力が必要です。(約20年前の大学時代から考えてきたことです・・・)
それが近年、京都市内にある京都工芸繊維大学が福知山市へ学年移転(京都市内3年、福知山1年)しました。まさに私が描いてきたスキームが実現され、さらに宮津市においても前尾記念クロスワークセンターMIYAZUの拠点が整備されました。
【これまでの主張】
宮津市においては、
①大学など人財育成ができる教育機関の創設
間違ってはいけないのが、宮津市単独で何十億円という箱物をつくるという話ではありません。できるにこしたことはありませんが、宮津市が資金を出すことはほとんど不可能です。ですので、国や府、どこかの大学等がつくってくれると尚助かります。
PFIというやり方も考えられます。例えば、みやづ歴史の館、京都府青少年海洋センターマリーンピア、市内の廃校となった小中学校など既存の建物をキャンパスにすれば済んでしまうことです。ウルトラCは、宮津会館をホールと市役所と大学の複合施設にPFIで整備する方法も考えていってはいかがでしょうか。
また、事務局が必要となりますが、現在の指定管理者及び一般社団法人京都北部・大学連携機構様等にお世話になれば難しいことではないように思います。
②大学連携・地方留学制度の導入
人口減少時代、生徒の確保難・大学の見直しがされている中で、新規に大学をつくるのは無理があるといわれます。一つの大学を作るのではなく、「都市部の複数の大学が連携して学生と教授を派遣してもらう複数大学の機能を持つものを創設」、あるいは「一つの大学であっても大学の学年移転(1・2回生は都市部、3・4回生は地方)や学部の移転」、あるいは「一般社団法人京都北部・大学連携機構様を活用し、1年間あるいは2年間といった一定期間をこの地で勉強してもらうことで単位を認定する大学連携・地方留学制度」を導入します。実際、京丹後市では、群馬県の高崎経済大学など5大学と提携し、短い期間の滞在ですが、単位認定をしています。
複数大学であれば、地元の子供たちは複数の大学の中から行きたいところを選ぶことができます。
さらに、1・2年間地元にも帰って勉強できるので、親の家賃等生活費の負担は軽減され、家の改修や家電の購入等他の投資に回すことができます。
空き家を改修して寮にすれば空き家対策にもなったり、下宿先が増えるなど投資にもつながり都市部から来た学生の家賃や生活費などの外貨が入り、地域経済に波及します。都市部の学生も自然あふれる田舎の良さを堪能でき、またその地方の厳しさも理解できるので、人間形成や日本の実情を肌で感じることができます。大学側も、学生の確保ができるメリットがあります。
③地元企業へのインターンシップ制度の導入
東京農業大学オホーツクキャンパスでは、「実学=実践で学ぶ」をされています。地元企業へのインターンシップを導入することで、離職率をかなり低下させ、定着率を向上させています。なぜかというと、学生の間から地元企業を知り、その魅力を感じたり、仕事に馴染んでもらったり、人間関係を作ったり、仕事の厳しさを味わうことで社会に出るということはどういうことか、働くとはどういうことか、ということを学生のうちから学んでいるからということのようです。
そして、この地域で言えば、例えば、農林水産業、豊かな自然から生まれる地域資源を活用した食である料理、深い歴史があることから考古学を活用したり、外国人誘客に力を入れていることもあり、観光地でのアテンダントをしたりといったことなど地元企業等で働きながら学ぶことができるのではないでしょうか。また、老人ホームがたくさんあるので福祉を学んだり、小中学校や学童などの補佐といった教育、地域の課題や地域資源を活かした都会にはない田舎の域学研究といったことを学ぶことができます。もっぱら、地元の企業や市民の皆さんのご協力は大前提での話となりますが。
そして、大学では、経営学やマーケティング論、企業のケースメソッドなど経営の基礎的なノウハウを学び、起業家精神を養うことができます。
また、その知識を地元企業にフィードバックし、有能な人材が地元企業に入ることで企業が成長し、産業が発展していくのではないでしょうか。このように大学と企業を結びつけることで、能力のある人材を地元企業は確保でき定着し、若者たちが戻ってこられる環境づくり、選択肢作りができ、コップの穴を小さくできるのではないかと私は考えています。
これを実現するためには、国・京都府のご協力が必要であることはもちろんですが、宮津市自体が本腰を入れて取り組むべきであり、“海の京都”の次のビジョンはこの政策の実現に向けて取り組むべきではないでしょうか。
これまで「ひとづくりができないまちに未来はない」と議会でも訴えてまいりました。
大学と協定を結んで数日来ただけでは意義が薄く意味がありません。これまで触れた①②③の3つの仕組みづくりをきちんと手掛け実現することが重要です。
他にも、IT関連企業のサテライトオフィスを空き家空き店舗に誘致することで、空き家対策になると共にニーズの多い事務職を確保することができ、若者が戻ってこられやすい環境ができるものと考えます。IT関連企業の誘致により宮津の街をビジネス街へと再生していきましょう!
次なる展開は・・・
『幸せの方程式』【夢】×【志】=みんな笑顔!
ここまでご一読いただきありがとうございます。
これまでの主張が形は変わりましたが、実現の方向へ進んでいると思います。城﨑市長・副市長・部長をはじめ職員の皆様に御尽力いただきました。
前尾記念クロスワークセンターMIYAZUの整備により、IT関連企業など7社と京都府立大学や大和学園のサテライトオフィスが進出。素晴らしい事業の組み立てだと思います。これからの動向が楽しみです。
大学生×進出企業×地元企業×地域×副業人材などで様々なことができるようになると期待しています。
保幼小中高大企業連携をはじめ、企業や地域とのコラボ、子供たちや学生がいきいきと活躍し、教育のフィールドへ宮津市を進化させましょう。
また、宮津天橋高校や海洋高校が京都府立大学の附属高校化になれば、大学の学年移転(1・2回生は京都市内、3・4回生は宮津市)も可能ではないでしょうか。そして、進出企業や地元の企業、地域との関りなどで学んでもらうことで地域に愛着を持つことにもつながり、この地域に根付いていただければ担い手にもなり人財流出の軽減にもなるのではないでしょうか。
やがてこのことにより高齢者の安心にもつながるように思います。
子どもたちには【夢】と【志】を見つけてもらい、人財育成できる宮津市へ、みんなを笑顔にしていきましょう!